抜かぬのも居合

 

居合の練習はどういったものを想像するでしょうか?

まだ居合を知らない人であれば、刀を振って敵を斬るイメージを持つのではないでしょうか。

もちろんその様な練習をする事に間違いはありません。

 

居合の中には「鞘の内 さやのうち」という言葉があります。

敵が刀を抜き襲ってきたならば、こちらも刀を抜いて敵を斬らねばなりません。

しかし、圧倒的な技術と心を兼ね備えた達人、そのオーラ(威圧感)だけで刀を抜く事無く

相手を制圧する事が出来ると言われています。つまりお互い血を見る事がないのです。

 

かく言う私はまだ刀を抜かねば敵を対処できない未熟者。

また、刀を抜いたからと言って圧倒的に勝つ自信もありません。

だから日々練習し続けています。

 

この「鞘の内」という言葉は居合のみならず、全ての武術に通ずるものがあります。

武術を何十年練習していても、その目標が敵を倒す事だけ(殴る蹴る斬る)では悲しい。

それは武道ではなく単なる格闘技。

 

「戈」を止めると書いて「武」

 

志が低かったり、そのベクトルが違っていればせっかくの練習が無意味になりかねません。

高度な技術と精神を身に着けるべく、正しい理念を持ち練習を積み重ねる。

使い方によっては相手を殺める事ができる技も、出来れば生涯使わずに人生を終えたい。

練習が自他の健康、相手との和解、対話、仲間づくりに活きるように。

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